寒い日にPCの電源が入らない
原因に付いての実験

 

 3年ほど使っているサブマシンが寒い日に電源が入らなくなる現象を起こしました。
症状としては、電源ボタンを何度か押さないと起動しなかったり逆に起動しても、
POSTの途
中(と思われる)でフリーズしてしまいます。  これまで、冬になってもこのような現象は起きま
せんでしたので、PCの部品のうち何かの品質劣化したことが考えられます。

そこで原因を追求してみましたので、皆さんのご参考になれは幸いです。

【原因は何か?】

 とりあえず、問題切り分けのため幾つか実験をしてみました。

    1.CMOSバックアップバッテリーを取り付ける。=>バッテリ切れで立ち上がらない
   こともある。

    2.周囲温度が7℃前後の時にほぼ必ず再現する。7℃だと起動しなくなり、もう少
  し気温が上がると問題なく起動するようになる。

    3.エアコンの起動電流が影響している可能性もあったので、エアコンのスイッチを
  切ったが再現する。

    4.電源電圧の低下も考えられるので、電源電圧を測ると、102Vrmsだったので、
  電源電圧の低下が原因だとは言えない。

    5.ステップアップトランスで電源の設計入力電圧である115Vに近い112Vを供給し
    てやると寒い朝でも起動するようになった。

 結局、ステップアップトランスを挿入して、立ち上がったことから、電源が原因ではない
かということで、電源を300Wの新品に交換すると、症状は嘘のように消えました。

 そこで、問題のあった電源で、寒い日にどのような現象が起きたために、PCが立ち上
らなくなるのか検証してみました。

【検証】

 まず、電源から、+5VとPOWER_GOOD信号を取り出し、電源SWのONでトリガをかけていろ
んな周囲温度の条件下で、オシロスコープを使って観察してみました。
 これは、気温の変化に+5Vラインの安定性の変化と、POWER_GOOD信号によって電源の
立ち上がり時間の変化を観察するためです。

 まず、問題の起らなかった、周囲温度約20℃の状態で立ち上げてみました。(20do.mpg)
すると、+5Vが立ちあがってから、POWER_GOOD信号が立ち上がるまで約650msかかりま
した。ATX規格では、この時間を最大2000msと規定おり、さらに”Intel Power Suplly Degin
 Guide"では、最大500msを推奨しています。したがって、ぎりぎりの所で立ち上がっている
と考えられます。

 ところが、周囲温度が約8℃の場合だと,POWER_GOOD信号が立ち上がるまでに、980ms
もかかってしまいます。さらに+5Vのラインの波形も立ち上がり時に揺らいでいます。明ら
かに、20℃の場合と比べて、少々電源が不安定になっているのが解ります。(動画:8do.mpg
)
  もし、周囲温度がもっと下げれば、POWER_GOOD信号が立ち上がるまでに1000msを越え
ることが十分考えられます。Mother Bordの設計が、先のガイドラインに忠実なら、立ち上が
らないことも有り得ると考えられます。

  さらにステップアップトランスの効果を確認するために、周囲温度10℃にて、商用電源ラ
インにステップアップトランスを挿入し、112Vにした場合と、何もしない場合を比較してみま
した。

   対策を行わない場合は、やはり5Vラインの揺らぎと、POWER_GOOD信号の立ち上り時
間の遅れが見られます。(動画:10do.mpg)

 ステップアップトランスを挿入した場合は、5Vラインはすぐに安定し、POWER_GOOD信号
も650msで立ち上がりました。(動画:10dostepup.mpg

 やはり、この対策は効果があるようです。

【結果の考察】

 さて、寒いとATX電源がなぜ不安定になるか原因ですが、多分電源内の電解コンデ
ンサの性能劣化が原因だと思います。電解コンデンサーには寿命がありますし、寒い
と性能が落ちます。
 性能が劣化したコンデンサーは、十分交流分を除去(平滑)できなくなり、その結果
出力にリプルが重畳して、出力が不安定になるものと考えられます。
 今回のケースでは、丁度3年経過したことで、寒いと起動しなくなる程度の性能劣化
が起きていたと、考えられます。

  さらに、商用電源ラインにステップアップトランスを挿入した場合、何故問題が解消する
ですが、元々ATX電源は、115V用に設計されています。そのため、内部トランスの2次
側には少し低めの電圧が供給されるため、規定の電圧に安定させるには少々無理が
生じるものと思われます。(実際のところは勉強不足で解りませんが...。)